20250527

Posted on May 27, 2025

「チ。―地球の運動について―」をみた

説教パートが退屈で評価の割に正直あんまりかなという印象。

チにまつわる地動説周り時代考証的なところは以下のブログ記事が詳しい。 かなり長文の記事だが面白かった。
「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜

天動説と地動説の対立を宗教と科学という対立とみなす通俗的誤解をあえて踏襲することによってエンタメ化しているというのが肝っぽい。 この記事を読んで改めて過度に単純化された科学の描き方が個人的にあまりノリきれなかった理由かなとも思った。

記事では地動説に対する弾圧は史実では限定的だったという指摘があるが、作中でノヴァクが使えていた教皇のみが地動説に対して強硬的な姿勢であったという描かれ方は、そのツッコミに対する作者なりのアンサーだったのかもしれないとは思った。

あと個人的には歴史を繋ぐというテーマにしては1章から2章以外はその必要性が薄いなと感じられてしまった。

2章で伝記の部分を未来に託す地動説という概念が既に存在し、観測記録や理論の核心こそが最も重要であるはずなのに、なぜ伝記の継承がそれほど決定的な意味を持つのか、正直よくわからなかった。
これは、オクジーに物語上の役割を持たせるための展開だったのかもしれないが。 地動説という「知」そのものが、個人の物語とは独立して、あるいはそれ以上に重要なはずなのに、個人の物語に回収されてしまうような描き方には少し疑問。

エピローグ?も結局すれ違いざま聞く「地球の運動について」という言葉だけが後の地動説の繋ぎになっていたわけで。

ラファウの再登場も必要性をあまり感じなかったがこれは自分が気づけてない要素があるのかも。 とはいえこういうのは意味がなくとも物議をかもせた時点で勝ちなのかもしれないが。