20250622
「新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を読んだ。
読んだ理由
フリーランスの手取り的なことを調べているうちに中学生のころくらいになぜか読んだこの本をふと思い出してKindle Unlimitedで無料だったこともあり。
雑記
本書の基本的なスタンスは、「社会の仕組みを理解し、経済合理的に人生を設計してキャッシュフローを最大化すべし」というもの。 その自己啓発的な側面と、具体的な事例として賃貸 vs 持ち家論やマイクロ法人による節税が詳細に解説される。
マイクロ法人の細かいところは軽く読み飛ばした。 多分参考になるのは法人成りを検討するフリーランスが主で内容としてはかなりニッチだと思う。 にもかかわらず本書がこれほど売れたというのはやはり自己啓発的な部分、そして著者の露悪的な雰囲気も含めた文章の面白さが大きいだろう。 実際に自分も年金やら税金やら税務署やらの話の中で国の構造的な問題というのを改めて痛感した。
「長期投資が成功するとは限らない」ということばなど節々に時代を感じた。 今の時代の当たり前も一歩引いて考える必要はあるだろうと感じた。
20250606
「ナヴァル・ラヴィカント」を読んだ。
読んだ理由
Xで見かけて、無料だったので何となく。
雑記
本人のことは知らなかった。 シリコンバレーのスタートアップ界隈の有名人らしい。
彼のXでの発言などをもとにした自己啓発本という感じ。 「金儲けのために書かれた本は信用できない」という彼の信条から日本語版もPDFで無料公開されている。 シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント
中身は独立しろ、熱中しろ、読書しろ、食事に気を遣え、瞑想しろって話で新鮮味はない。 ただこの手の本としては珍しくかなり共感できる内容だった。
あと最後のブックリストはよかった。 いくつか読みたいリストに入れた。
最近iPadを買ったこともあり久しぶりに電子書籍で本を読んだけどこういう感想を書くのにパラパラ見直すというのがやり辛くてやっぱり不便に感じてしまう。
それとこの本の影響で最近サボってた瞑想を久しぶりにやったのだが意識が3呼吸も持たなくてだいぶ下手になってしまってた。 こういうのってスポーツとかと同じ類の技術だよなと改めて感じた。
20250527
アニメ「チ。―地球の運動について―」をみた
説教パートが退屈で評価の割に正直あんまりかなという印象。
チにまつわる地動説周り時代考証的なところは以下のブログ記事が詳しい。
かなり長文の記事だが面白かった。
「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜
天動説と地動説の対立を宗教と科学という対立とみなす通俗的誤解をあえて踏襲することによってエンタメ化しているというのが肝っぽい。 この記事を読んで改めて過度に単純化された科学の描き方が個人的にあまりノリきれなかった理由かなとも思った。
記事では地動説に対する弾圧は史実では限定的だったという指摘があるが、作中でノヴァクが使えていた教皇のみが地動説に対して強硬的な姿勢であったという描かれ方は、そのツッコミに対する作者なりのアンサーだったのかもしれないとは思った。
あと個人的には歴史を繋ぐというテーマにしては1章から2章以外はその必要性が薄いなと感じられてしまった。
2章で伝記の部分を未来に託す地動説という概念が既に存在し、観測記録や理論の核心こそが最も重要であるはずなのに、なぜ伝記の継承がそれほど決定的な意味を持つのか、正直よくわからなかった。
これは、オクジーに物語上の役割を持たせるための展開だったのかもしれないが。
地動説という「知」そのものが、個人の物語とは独立して、あるいはそれ以上に重要なはずなのに、個人の物語に回収されてしまうような描き方には少し疑問。
エピローグ?も結局すれ違いざま聞く「地球の運動について」という言葉だけが後の地動説の繋ぎになっていたわけで。
ラファウの再登場も必要性をあまり感じなかったがこれは自分が気づけてない要素があるのかも。 とはいえこういうのは意味がなくとも物議をかもせた時点で勝ちなのかもしれないが。
20250523
「22世紀の民主主義」を読んだ。
読んだ理由
Pluralityをじっくり読む前に軽く読めそうなこれをサクッと目を通しておこうかなという感じ。
22世紀の資本主義も読んだことだし。
新しいジャンルに手を出すときには初手に過激寄りの本をキメておくことでその個人的な賛否に寄らずその後が捗るという経験則。
雑記
個人的な今の政治に対する問題意識は、間接民主主義によって解像度の低い意思決定しかできないこと、老人が多数派なせいで政治が近視眼的になりがちなことだと考えてたがここは本書でも同様のものを共有している。
実際にコロナ禍において民市主義国家ほど死者が多くGDP成長率も低かったというデータは知らなかった。
その対策として既に挙げられているのが政策ごとの
- 液体民主主義
- 分人民主主義
- 二次投票
などなわけだがそもそも個人が政策ごとに投票をするというは意思決定のコストが高すぎるという問題がある。
この処方箋として
-
データによる価値判断: 各論点・イシューごとに価値判断の基準や目的関数を民意データから算出
-
データによる政策立案: 価値判断・目的関数に従って最適な政策的意思決定を行う
からなる「無意識民主主義」が本書の趣旨となる提案。
実際に技術的に可能か?今の民主主義から導入が可能か?というとウーンとなるが22世紀、おそらくASI達成後の未来ではワンチャンありうる話なのだろうか?
20250518
「オンラインデートで学ぶ経済学」を読んだ。
読んだ理由
最近マッチングアプリの推薦システムに興味がありその中で見たタップルの動画で紹介されいたので。
経済学の知見を活かしたユーザに行動変容を促す仕掛け - タップルでの共同研究プロジェクトを例として【CADC2023】
感想
経済学の知識を生かしてマッチングアプリや恋愛において新たな知見を得るというような方向性を期待していたが解説にもあるように「オンラインデートを題材として経済学の考え方を丁寧に解説している」本であまり得るものはなかった。
20250414
「ウォーリー」をみた。
全編を通して2001年宇宙の旅のオマージュを強く感じる。
オートのビジュアルは明らかにHALだし。
特に印象的なのは船長が暴走したオートを停止するために立ち上がるシーン。
そこでは「2001年宇宙の旅」の冒頭、類人猿が道具を使い始め直立歩行を行う人類へと進化するシーンで流れる「ツァラトゥストラはかく語りき」が使われている。
人類が発明した道具の支配によるある種の退化から、再び主体性を取り戻し直立歩行へ戻るというその対比が象徴的。
大統領?からの船長へのビデオメッセージが実写であるところでなんでだろうと思ったが後に歴代船長が実写から徐々にメタボなCGキャラに変貌していくシーンで納得。笑った。
CGアニメならではのメタ的な演出でおもしろい。
ユートピアを捨てる選択に皆が無邪気に受け入れる潔さが清々しい。
船長がこのままでええやん的ななスタンスでグダるシナリオを想定していたのでいい意味で裏切られた。
20250320
村上隆の「芸術起業論」を読んだ。
村上隆がかなり戦略的にアートに取り組んでいるというのは知っていたがその詳細が知りたかったというのがそのモチベ。
以前現代アートを軽く学んだ際はアートの発展には批評が必要でありそのためにはそれがベストではないにせよ値段をつけることで市場化されている必要があるよなと思っていたが割と現在アートの中心地であるNYではそういう雰囲気っぽい。
本書ではアートにおける"自発性"(マイケルフリードの自立性と同じ?)への信仰は歴史的にみても例外的なルールなのだが未だ日本はその感覚であり、それゆえ不健全。今世界でウケるには「作品を通して世界美術史における文脈を作り上げること」が必要であるというのがメインの主張でそれが繰り返し説かれる。
またいまはこうだけどゲームのルールが変わればそれに適応する必要があるというスタンスなのもすごいなと思った。
あと彼の会社カイカイキキはYouTubeがあった。まあ大変そう。
https://www.youtube.com/@kaikaikiki_daily
20250318
「幸福な監視国家・中国」を読んだ。
本書では1984的な冷戦期の社会主義国家における監視社会のイメージで語られがちな中国の監視社会はミスリードとして、それによるメリットを含め良くも悪くも的なスタンスな書かれ方。
前半と後半で著者が異なり、前半では中国の監視社会に纏わる信用スコアなどのテクノロジーとその社会実装の現状、後半ではその背後にある思想的あれこれについて論じられている。
メインの主張としては中国の監視社会化は独裁体制によるものではなくプライバシーを犠牲にしても利便性や安全性が向上するならよしという功利主義的な態度故であり、その論理で言えば社会実装へのスピード感は異なるにしろ監視社会化は日本含む西側諸国も他人事ではないというところ。これはなるほど。
アルゴリズムを実装していくうえで実際的にトロッコ問題などの価値判断をどうするべきかは悩ましいと思った。
このような価値判断こそ本書でいう"市民的公共性"が求められる場なのだろうなと思いつつ実際にこれらの個別的な事柄についてそれらの意見を集約し実装まで至ることができるようになるとは思えないので結局恣意的なアルゴリズムに多くをを委ねざるおえないよなという気はする。
この前読んだ成田悠輔の新刊22世紀の資本主義でも全てはデータ化されるというような話でこれには意図的なものかアルゴリズムによる規範を逸脱した場合のペナルティのようなネガティブな話はあまり出てこなかったが、世界観やモチベとしてはかなり近いように思う。この辺りはやっぱり印象論で語られがちで前者は受け入れられるものの"監視社会"ということばを使うと受け入れられないという人は多そうだなと思った。
20250311
引越しにあたりインターネット周りでのあれこれを記録。
まず自分の勘違いで光コンセント有の物件と勘違いしていたことにはじまる。
深く考えずに今契約中の楽天ひかりで引っ越し手続きを行おうとしたところ100MBのプランになると伝えられそこで物件がVDSLであることが判明。
NURO編
まずは個別にNUROをいれることを検討した。
調べてみるとマンションにNUROを通すには4世帯以上の同時契約者を募る必要があるとの記載が見かけられかなりハードルが高く感じるがこれはおそらく2024年の10月までの旧マンションプランの話で新プランからは1世帯からでも契約できるようになったっぽい。
管理会社に確認したところ穴開け、ビス止めなど外壁を傷つける作業は絶対NGと言われた。
ただ調べてみると穴開けについては既存の配管が利用できないかつエアコンダクトが使えない場合、ビス止めについては光キャビネット、配線については両面テープ可なので配線の引留金具の設置が新しく必要な場合のみ必要とのことでこの条件でも設置できる可能性が高そうと思っていた。
https://www.nuro.jp/article/anaake/
宅内工事の際に確認してもらったところ先の要素はクリアしたもののMDF内が一杯で必要な設備を新たに取り付ける必要がありそれにビス止めが必要とのことで一応直接管理会社に交渉してみてくれはしたものの許可が下りず断念することとなった。
帰りがけに光配線の設備(光スプリッタ?)自体はMDFにあったのでNTTに依頼すれば個別で既存の電話線と別にMDFから光ファイバーを引き込める可能性はあると伝えられた。管理会社に確認をとったところそれであればOKとのことだったのでこの方針で光コラボで検討することにした。
光コラボ編
まず新しく光ファイバーを通す作業が初期工事として認められるかを確認する必要がある。
念のため複数の業者で確認をとった結果、この場合戸建てプランでの契約となりその場合工事費にその作業が含まれるとの回答だった。
今回のように物理的な配線が全く同一なのに先についていたか後付けしたかによって月々の利用料が変わるというのは解せない気持ちがある。またこの場合次回の契約ではマンションプランに乗り換えることが可能なのかは気になるところ。
戸建てタイプでの最安を調べたところビッグローブ光がキャッシュバック込みでかなり安かったのでここにした。
条件は10GBプランで初月+6か月無料、75000円キャッシュバック、工事費無料。10GBプランである必要は全くないのだが3年の合計額で比較した際にキャッシュバックの上乗せ分などを考慮すると1GBより安くなったのでそっちを選択した。
また先の質問後にあとはWebから申し込むので大丈夫ですと伝えたところ、このまま電話からの契約であればWeb申し込みより1万多くキャッシュバックしますとの申し出があったのでそこで契約した。営業のインセンティブによる事情なのかよくわからないがこういうパターンもあることは今後も留意しておこうと思った。
補足
NTTはVDSL、LAN方式を切りたいようで2025年4月からは光配線プランと月額料金が統合(実質の値上げ)が行われる。
https://flets.com/2024_rebalance/
これに伴って今回のようなケースついては無料工事を行ってくれるみたい。
こちらでNTTに工事を依頼したうえでマンションプランを契約する手もあったなと思った。
https://www.ntt-west.co.jp/info/support/oshirase20241122.html
20250302
ソフトウェアエンジニアリング協会の勉強会に参加した。
数年前でポーカーでウォッチしていたLillianさんのGoogleへの転職エントリではじめて存在を認知して興味をもっていたが今回たまたま募集を見かけて応募してみた。
https://nuc.hatenadiary.org/entry/2021/03/31
“エンジニアとして世界で活躍する人材育成を目指しています"というだが趣旨としてはビッグテック、特に講師陣の全員がGoogle在籍、出身とのこともあってGoogleの技術試験対策っぽい。とはいえそれ用のハックがあるわけでもなく正攻法としてそのために必要なCSの基礎を身に着けるにはという話。
5時間の勉強会だったが構成は以下
- そもそもの話
- 技術面接の実演
- 質問コーナー
そもそもの話スライドは共有自由とのことなので以下。
https://docs.google.com/presentation/d/1Ny4kmHE2FZMI0AuPxImokweGoAE73RAGivjDJg0kG80/edit?usp=sharing
そもそものそもそもというか全体的に色々面白い話はあったのだがGoogleの入社に関してまとめると以下のような感じ。
- 人口で正規化しても日本人の社員は中国の1/50
- 高校化学くらいの難易度
- 読み書き、四則演算と同じ精神状態になる必要
あと知り合いのGoogleで働いてる人は中学生のころからOSをかいてるような人で勝手にそういうオタク的な人たちの集まりなのだと思い込んでいたがそうでもなかったっぽい。
コーディングクイズは例えば回文判定のプログラムをCで書いてくださいというところからはじまり、マルチバイト文字列ならどうなるか?1TBのテキストだったらどうするか?分散処理した場合ボトルネックはどこか?それを踏まえて処理時間の概算は?などフォローアップタイムではこの手の質問が次々飛んでくる感じで今の自分ではかなり厳しいなと思った。
そのテクニック的なところは今日話がなかったことも含め講師の方の以下の記事が詳しい。
https://nodchip.hatenadiary.org/entry/2023/03/03/205125
自分は殆どCSを学ばずにWeb開発(?)の表層だけ学んでここまできてしまったのもあってCSをちゃんと学びたいなという気持ちはやんわりあったのだがそのモチベはかなり上がった。
質問コーナーではAIで今後SWEの需要はどうなっていくと思いますか?のような質問に対しては皆さんかなり楽観的でいたのは意外だった。