20250320


村上隆の「芸術起業論」を読んだ。
村上隆がかなり戦略的にアートに取り組んでいるというのは知っていたがその詳細が知りたかったというのがそのモチベ。

以前現代アートを軽く学んだ際はアートの発展には批評が必要でありそのためにはそれがベストではないにせよ値段をつけることで市場化されている必要があるよなと思っていたが割と現在アートの中心地であるNYではそういう雰囲気っぽい。

本書ではアートにおける"自発性"(マイケルフリードの自立性と同じ?)への信仰は歴史的にみても例外的なルールなのだが未だ日本はその感覚であり、それゆえ不健全。今世界でウケるには「作品を通して世界美術史における文脈を作り上げること」が必要であるというのがメインの主張でそれが繰り返し説かれる。
またいまはこうだけどゲームのルールが変わればそれに適応する必要があるというスタンスなのもすごいなと思った。

あと彼の会社カイカイキキはYouTubeがあった。まあ大変そう。
https://www.youtube.com/@kaikaikiki_daily

20250318


「幸福な監視国家・中国」を読んだ。

本書では1984的な冷戦期の社会主義国家における監視社会のイメージで語られがちな中国の監視社会はミスリードとして、それによるメリットを含め良くも悪くも的なスタンスな書かれ方。

前半と後半で著者が異なり、前半では中国の監視社会に纏わる信用スコアなどのテクノロジーとその社会実装の現状、後半ではその背後にある思想的あれこれについて論じられている。

メインの主張としては中国の監視社会化は独裁体制によるものではなくプライバシーを犠牲にしても利便性や安全性が向上するならよしという功利主義的な態度故であり、その論理で言えば社会実装へのスピード感は異なるにしろ監視社会化は日本含む西側諸国も他人事ではないというところ。これはなるほど。

アルゴリズムを実装していくうえで実際的にトロッコ問題などの価値判断をどうするべきかは悩ましいと思った。
このような価値判断こそ本書でいう"市民的公共性"が求められる場なのだろうなと思いつつ実際にこれらの個別的な事柄についてそれらの意見を集約し実装まで至ることができるようになるとは思えないので結局恣意的なアルゴリズムに多くをを委ねざるおえないよなという気はする。

この前読んだ成田悠輔の新刊22世紀の資本主義でも全てはデータ化されるというような話でこれには意図的なものかアルゴリズムによる規範を逸脱した場合のペナルティのようなネガティブな話はあまり出てこなかったが、世界観やモチベとしてはかなり近いように思う。この辺りはやっぱり印象論で語られがちで前者は受け入れられるものの"監視社会"ということばを使うと受け入れられないという人は多そうだなと思った。

20250311


引越しにあたりインターネット周りでのあれこれを記録。

まず自分の勘違いで光コンセント有の物件と勘違いしていたことにはじまる。
深く考えずに今契約中の楽天ひかりで引っ越し手続きを行おうとしたところ100MBのプランになると伝えられそこで物件がVDSLであることが判明。

NURO編

まずは個別にNUROをいれることを検討した。
調べてみるとマンションにNUROを通すには4世帯以上の同時契約者を募る必要があるとの記載が見かけられかなりハードルが高く感じるがこれはおそらく2024年の10月までの旧マンションプランの話で新プランからは1世帯からでも契約できるようになったっぽい。

管理会社に確認したところ穴開け、ビス止めなど外壁を傷つける作業は絶対NGと言われた。
ただ調べてみると穴開けについては既存の配管が利用できないかつエアコンダクトが使えない場合、ビス止めについては光キャビネット、配線については両面テープ可なので配線の引留金具の設置が新しく必要な場合のみ必要とのことでこの条件でも設置できる可能性が高そうと思っていた。
https://www.nuro.jp/article/anaake/

宅内工事の際に確認してもらったところ先の要素はクリアしたもののMDF内が一杯で必要な設備を新たに取り付ける必要がありそれにビス止めが必要とのことで一応直接管理会社に交渉してみてくれはしたものの許可が下りず断念することとなった。

帰りがけに光配線の設備(光スプリッタ?)自体はMDFにあったのでNTTに依頼すれば個別で既存の電話線と別にMDFから光ファイバーを引き込める可能性はあると伝えられた。管理会社に確認をとったところそれであればOKとのことだったのでこの方針で光コラボで検討することにした。

光コラボ編

まず新しく光ファイバーを通す作業が初期工事として認められるかを確認する必要がある。
念のため複数の業者で確認をとった結果、この場合戸建てプランでの契約となりその場合工事費にその作業が含まれるとの回答だった。
今回のように物理的な配線が全く同一なのに先についていたか後付けしたかによって月々の利用料が変わるというのは解せない気持ちがある。またこの場合次回の契約ではマンションプランに乗り換えることが可能なのかは気になるところ。

戸建てタイプでの最安を調べたところビッグローブ光がキャッシュバック込みでかなり安かったのでここにした。
条件は10GBプランで初月+6か月無料、75000円キャッシュバック、工事費無料。10GBプランである必要は全くないのだが3年の合計額で比較した際にキャッシュバックの上乗せ分などを考慮すると1GBより安くなったのでそっちを選択した。
また先の質問後にあとはWebから申し込むので大丈夫ですと伝えたところ、このまま電話からの契約であればWeb申し込みより1万多くキャッシュバックしますとの申し出があったのでそこで契約した。営業のインセンティブによる事情なのかよくわからないがこういうパターンもあることは今後も留意しておこうと思った。

補足

NTTはVDSL、LAN方式を切りたいようで2025年4月からは光配線プランと月額料金が統合(実質の値上げ)が行われる。
https://flets.com/2024_rebalance/

これに伴って今回のようなケースついては無料工事を行ってくれるみたい。
こちらでNTTに工事を依頼したうえでマンションプランを契約する手もあったなと思った。
https://www.ntt-west.co.jp/info/support/oshirase20241122.html

20250302


ソフトウェアエンジニアリング協会の勉強会に参加した。
数年前でポーカーでウォッチしていたLillianさんのGoogleへの転職エントリではじめて存在を認知して興味をもっていたが今回たまたま募集を見かけて応募してみた。
https://nuc.hatenadiary.org/entry/2021/03/31

“エンジニアとして世界で活躍する人材育成を目指しています"というだが趣旨としてはビッグテック、特に講師陣の全員がGoogle在籍、出身とのこともあってGoogleの技術試験対策っぽい。とはいえそれ用のハックがあるわけでもなく正攻法としてそのために必要なCSの基礎を身に着けるにはという話。

5時間の勉強会だったが構成は以下

  • そもそもの話
  • 技術面接の実演
  • 質問コーナー

そもそもの話スライドは共有自由とのことなので以下。
https://docs.google.com/presentation/d/1Ny4kmHE2FZMI0AuPxImokweGoAE73RAGivjDJg0kG80/edit?usp=sharing

そもそものそもそもというか全体的に色々面白い話はあったのだがGoogleの入社に関してまとめると以下のような感じ。

  • 人口で正規化しても日本人の社員は中国の1/50
  • 高校化学くらいの難易度
  • 読み書き、四則演算と同じ精神状態になる必要

あと知り合いのGoogleで働いてる人は中学生のころからOSをかいてるような人で勝手にそういうオタク的な人たちの集まりなのだと思い込んでいたがそうでもなかったっぽい。

コーディングクイズは例えば回文判定のプログラムをCで書いてくださいというところからはじまり、マルチバイト文字列ならどうなるか?1TBのテキストだったらどうするか?分散処理した場合ボトルネックはどこか?それを踏まえて処理時間の概算は?などフォローアップタイムではこの手の質問が次々飛んでくる感じで今の自分ではかなり厳しいなと思った。

そのテクニック的なところは今日話がなかったことも含め講師の方の以下の記事が詳しい。
https://nodchip.hatenadiary.org/entry/2023/03/03/205125

自分は殆どCSを学ばずにWeb開発(?)の表層だけ学んでここまできてしまったのもあってCSをちゃんと学びたいなという気持ちはやんわりあったのだがそのモチベはかなり上がった。

質問コーナーではAIで今後SWEの需要はどうなっていくと思いますか?のような質問に対しては皆さんかなり楽観的でいたのは意外だった。

20250228


掲示板の改良をした。

複数人格の運用

なんj民、2ch住人、安価用など複数人格を確率的に呼び出すような実装に変更した。

プロンプト改良

時間を入れ込んだり、同じIDで一貫性を持たせるような指示を追加したり、同じ話題が続いたときそこから脱出するような指示を追加したりその他諸々。

Cloudflareによるcronの追加

GitHubActionでは5分毎に設定はしているものの1時間発火されなかったりで物足りなかったのでCloudflareWorkerでのcronも追加した。

Xでポストしたり知人に紹介したりで多少人が入り一時的に本来の趣旨であった"相手が人なのかLLMなのかわからないみたいな体験"ができてよかった。

20250226


AIも定期的にレスする2chライクな掲示板を作った。
https://aich.nwnwn.com/

相手が人なのかLLMなのかわからないみたいな体験を意外とやったことないのでやりたいなと思ったのがきっかけ。
それができるものはなんだろうと考えた結果、一対一のコミュニケーションではさすがに難しいだろうなというので掲示板的なコミュニケーションであればギリいけるのではという。

所要時間は5時間くらい。
久々に個人開発でコーディングしたがやっぱりCopilotが偉大でTab補完でずんずん進んでいく感じが気持ちよくて仕事でも使いたいなという気持ちになった。

技術スタック

全て無料。今後何か作るときもMantine以外はしばらくは同じ構成になると思う。

Next

いつもの。App Routerから逃げ続けているので今回もPage Routerの原始的なSPA。

Prisma

いつもの。

Mantine

仕事でも使っているのもあって今回も採用したが使用者の多いFWのほうがAIに書かせたときにいい感じにしてくれやすいのかなとも思うので今後は悩み。

Vercel

いつもの。

Supabase

ずっと個人開発におけるDB枠が不在だったのでありがたい。Prismaとの連携も簡単にできてよかった。地味にGUIでデータをポチポチできるのが嬉しい。

Guthub Action

定期的にLLMでレスをつけるcronの実行用に採用。
5分間隔に設定してはいるが実行タイミングは結構バラバラで1時間くらい実行されないこともある。デプロイ直後も動き出すまでに30分くらいかかって心配した。
cronの実行タイミングでレス用の処理のトリガーを複数仕込むような仕様のがよいかも。この辺Nextでそれができるかはわからないけど。

はじめはVercelについてるcron機能を使おうとしたものの無料枠では1日1回の実行しかできなかったのでこちらに切り替えた。Vercelに5分間隔のスケジューリングをデプロイするとなぜかデプロイにコケてエラーもないので若干ハマった。この辺の設定が範囲内でないとコケるっぽい?

Gemini

LLMはなんでもよかったけどなるべく無料でやりたかったので初のGeminiを使った。
1日1500回の無料枠は魅力的。

機能としては一通りできてはいるもののまだ肝心のAIか人かが区別できないというところまで作りこめていないのでAI側にも複数人格作ったりとかもうちょい工夫したい。

20250223


「AI時代の新・ベーシックインカム論」を読んだ。
実際に日本でBIを導入するためには?というところの解像度を上げたくて読んだので個人的には2章と3章がメイン。

財源の話としては月7万のBIを実現するのに必要なのは100兆円でBI実現に伴い不要となる生活保護などの予算の合計が36兆円となり差額の64兆円をどうするかというのが基本的な問題となる。これは所得税15%、相続税30%の一律引き上げで賄うことができるということで確かにギリ現実的な範囲であるものの実際これを通すのは無理だろうなと思った。

これに加えて著者は国債発行を財源として国民に現金を給付するヘリコプターマネーを提案している。これは実質的には貨幣発行益を財源とすることを意味する。ただ現状の民間銀行が信用創造を行うことができる貨幣制度においては貨幣発行益の恩恵が不当に民間に流れている。そのために100%準備制度などによって信用創造を中央銀行にのみ限定し貨幣発行益をBIとして支給することによってその恩恵を直接国民が享受するべきというのが3章における著者の主張っぽい。
実際日本においてインフレが問題にならない範囲でヘリコプターマネーでどこまでの額のBIまで行うことができるのかというのは気になった。

20250205


「ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう」を読んだ。
ベーシックインカムについてもうちょい知っておきたいなという気持ちがありたまたま図書館で見かけて薄かったのもあり手に取った本。

MMTという概念は初めて知った。
貨幣は発行できるため政府の財政支出には制約はなく本当の制約は資源にあり、課税は財源の確保の目的ではなく需要をコントロールするためであるという考え方にはなるほどと思った。
MMTの発想ではBIの実現には財源が問題ではなくなるためにBIの結果としてうまくまわるのならおkというのが大まかな本書の流れ。

ただあとがきにある通りMMT派はBIではなくJG推しがスタンダードとのことでその意味で本書はちょっと特殊な立ち位置にあるよう。
これだけ読むとBIがすべてを解決するという気持ちになるが、BIにしてもMMTにしても一般的なところを先に押さえておくべきだろうなとは思った。

20250203


麻雀を始めて一か月経ったので現状の記録。

やった(てる)こと

雀魂

東風戦だけやってて今は雀傑2で平均順位は2.39。
銀の間では平均順位は2.3とかで周りの行動を見てても自分のが上だなと感じていたけど金の間からはそうでもなくなった感じだったので勉強を始めた。

リアル

雀魂のアシストなしだとボロボロだったのでネットでもアシストなしのゲームを選ぶとかそういう練習をしないとダメだなと思った。

これだけで勝てる! 麻雀の基本形80

2周した。
5ブロック理論など牌効率の基礎を身に着けるのにはちょうどよかったなと思う。
最後の麻雀の筋トレはやった方がいいんだろうなと思いつつやってない。
以下のサイトで牌使わずともやれるので気が向けばやりたい。
https://www.hayuu.net/mj-workout/

3ヵ月で強者と戦えるようになる 麻雀「超コスパ」上達法

麻雀の基本的なセオリーを知るのにちょうどよかった。
今の時点できちんと読み通すのはしんどかったので軽く1周流して目次だけ頭に入れて同じようなシチュに出会ったときに該当箇所を読み直すみたいな使い方でやってる。
7枚形の待ちは早く覚えた方がいいんだろうなと思いつつやってない。

渋川式 麻雀通信(YouTube)

雀魂のライブ配信のアーカイブをみてる。
特に不満もないが愛着もないので別にいい人が見つかれば移行するかも。

20250131


「ブルシット・ジョブの謎」を読んだ。

昔から素朴な疑問として科学技術の発展により生産性は著しく向上しているにもかかわらず未だに多くの人々が週5労働を強いられているのはなぜなのかというのがある。
ケインズも20世紀末までに先進国では週15時間労働が達成されるとの予測を立てているのにも関わらずの現状を踏まえるとやはりこの疑問は妥当だろう。
特にこの頃AIの発展でWorld CoinなどUBIの話なども上がるようになってはいるものの生産性の向上が労働時間の削減に寄与していない歴史を鑑みると実現に疑問が生じるということになる。
このあたりの解像度を上げるうえでもブルシットジョブの概念は知っておくべきだろうなと思いつつも原書を読むのは億劫で積読のままだったので気軽に読めそうな新書のこれを読んだ。
とはいえ原書の意図を正確に伝えることを重視しているがために冗長というか読みづらい箇所や引用も多々あったのでその要諦を掴む目的としてはもっと適当な本があったかなとは思った。

明らかにBSJの存在は経済的合理性に欠くわけでこれは個人最適の結果として全体最適に至らないという構造的な話なのかなと思っていたがそうではなかった。
自分なりに本書からBSJの発生する仕組みを要約すると以下のようになる。

  1. 資本主義において新産業の開拓のネタが尽きると資本はFIRE部門に向かう
  2. FIRE部門が利潤を生み出す
  3. 生み出された利潤がBSJに投入される

そして

  • ネオリベラリズム
  • 旧約聖書にはじまる労働懲罰説
  • 労働はそれ自体に価値があるという観念

というイデオロギーがこの構造を固定化する。

2から3に向かう力学がわからなかったしこの論理で説明できないBSJも多くある気がして正直あまり納得感はない。この辺の詳細は原書を読んだ方がよいかも。

あとグレーバーからのBSJからの解放の処方箋としてのベーシックインカムの立ち位置が面白い。
なぜなら労働が効率化された結果としてベーシックインカムがあるという発想が自然で自分もなんとなくそう考えていたからだ。ベーシックインカムが労働を効率化するという逆説的な発想は刺激的。